「平成の大合併」で新たな庄原市が誕生したのを契機として、平成19年に市内の民俗芸能保有団体で立ち上げたのが庄原市民俗芸能振興協議会です。民俗芸能とは、地域の生活に密着し、人々が様々な思いを込めて参加し享受してきたものです。神楽や供養田植(花田植)が代表的ですが、盆踊りや舞打ち(楽打ち・頭打ち)、雨乞いの祈祷といった祭りや民謡などもその範疇です。ところが、昨今の過疎化・高齢化・少子化の進行とそれに伴う人口減少に伴い、民俗芸能の担い手も減少しています。この民俗芸能が直面している問題に一致団結して対応するため日々活動しています。
普段は庄原市内の民俗芸能の保存伝承や普及発展、技術向上にかかわる調査研究などを行っていますが、本会がかかわっている大きなイベントとして「庄原市民俗芸能大会」があります。これは庄原市内の民俗芸能を一堂に会し広く公開するイベントで、本会や庄原市教育委員会が中心となって実行委員会を組織し、運営・開催しています。観光イベントとしての側面もありますが、それ以上に民俗芸能の保存伝承に果たす役割は大きなものがあります。地域から人が減るとともに担い手が減るのは先の通りですが、それに加えて披露をする場も少なくなっており、数年に一度という場合もあります。民俗芸能大会も2年に1度ですが、構成団体からは「舞台で披露できるのは、日ごろの練習の成果が確認でき、役立っている」という声があります。同時に、観客から寄せられる歓声や拍手には大いに励まされます。今年は庄原市東城文化ホールで11月25日(土)に開催されます。従来にない新たな試みも盛り込まれており、多くの方に来場していただきたいと思います。
その他、本会の各構成団体は特に子どもを対象とした後継者育成に取り組んでいます。比和牛供養田植(広島県指定無形民俗文化財)の保有団体である比和町郷土芸能振興会と庄原市立比和中学校の連携や、比婆荒神神楽(国指定重要無形民俗文化財)の後継者育成を目指した比婆荒神神楽子ども神楽塾などがその代表格で、現地公開への参加や、保有団体への加入などの成果が地道な取り組みの結果現れています。いずれの取り組みでも、体の動きだけでなく、込められた想いや歴史も教えているという点では共通しています。その「こころ」こそが民俗芸能にとって一番肝心で、たとえ他所へ出て行ったとしても、子どもたちの心の支えになると信じているからです。
民俗芸能には、農村の魂や心が宿っていると感じています。それは、信仰心や農作物への感謝、自然への畏敬の念のような、私たちにとって大切な、けれども現代では忘れてしまいがちな想いです。先人たちが現代まで伝えてきた想い、それをなんとか未来へ繋ぐために今後も活動していきたいと思います。
【第7回庄原市民俗芸能大会】
とき:平成29年11月25日(土) 9:00 開場/10:00 開会
ところ:庄原市東城文化ホール(庄原市東城町川東1188-2)
入場料:500円(高校生以下無料)
※詳しくは庄原市ホームページをご覧ください
【事務局】
庄原市中本町1-10-1 庄原市教育委員会教育部生涯学習課内
Tel:0824-73-1189
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比婆荒神神楽(重要無形民俗文化財)
比和中学校での供養田植練習風景
庄原市民俗芸能大会の様子(三河内刀踊り・扇踊り)
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